納品書には印鑑が必要?一般的なルールと押印する場合の印鑑の種類
目次
納品時には取引先に納品書を提出することが慣例ですが、この納品書には作成義務はなく、また、押印の義務もありません。
ではなぜ、押印の義務はないのにもかかわらず、押印を求める企業が多いのでしょうか。
今回は、納品書への押印の必要性や書類に押印を求められる理由、納品書以外で押印が求められる書類などについて解説します。
1納品書には、押印は必要
納品書への押印は、義務ではないものの、自社名の付近に社印で押印をすることをおすすめします。
法律的な観点からいえば、納品書への押印は義務とされておらず、押印されていなくても納品書の効力に変わりないとされています。そのため、納品書に押印しない企業や個人事業主も少なくありません。
また、納品書に押印していなければ、正式な書類なのかを判断できず、信頼性に欠けてしまうケースもあります。そのため企業によっては押印がないと受理してもらえない場合があるため、納品書には押印することをおすすめします。
2なぜ企業間取引では、押印が求められるのか
企業間取引では、法的効力がないにもかかわらず、納品書をはじめとする書類に押印が求められることがあります。一体なぜ、企業間取引では面倒な押印が求められる傾向にあるのでしょうか。
2-1. 請納品書の信頼性を高めるため
納品書の信頼性を高めるために、企業間取引では押印が求められます。
民事訴訟法第228条4項に、
“私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する”
と定められており、押印は明確な意思表示であるとされています。
この民事訴訟法の条文により、押印された納品書であれば、企業として公的に発行していることの証明にもなるため、押印されていない納品書と比べてもその信頼性は増すでしょう。
また、納品書をはじめとする取引に関わる書類に押印することで、万が一訴訟などに発展した場合にも、証拠として利用することができます。
2-2. 納品書の押印は「角印」を使用
納品書に押印をする場合は、角印を使うのが慣例です。
角印は会社の認印としての役割を持っており、納品書以外にも見積書や請求書、受領書などにも使用されます。重要な契約書などには特に丸印が使用されますが、角印も会社として正式に発行した事実を裏付ける点では同様の効力がありますので、角印で十分です。
3納品書以外で、押印が必要な書類は何か
納品書以外にも、書類の信頼性のために、押印が求められるケースがあります。取引先に提出する出荷に関する書類だけではなく、正式なフローで仕入れをしたという事実を残すためにも、仕入れに関する書類に押印が必要なケースがあります。
押印が必要な書類は、業務フロー別に分けると以下の通りです。
業務フロー | 押印が必要な書類 |
---|---|
受注管理 | 見積書 |
取引契約書 | |
発注書 | |
注文請書 | |
業務委託契約書 | |
機密保持契約書 | |
出荷管理 | 出荷指示書 |
納品書 | |
受領書 | |
領収書 | |
売上伝票 | |
仕入れ管理 | 見積書 |
取引契約書 | |
発注書 | |
発注伝票 | |
出金伝票 |
上記の書類は押印が必要とされていますが、納品書と同様、法的には押印を必要としていません。
しかし、偽造などのトラブルを回避するためにも、商取引上の慣例として押印するケースが多くなっています。法的効力とは別に、書類自体の信頼性を高めるためにも押印するのが重要です。そのため、特別な理由がない場合、正式な書類への押印がすすめられます。
4まとめ
印鑑を押すことで、偽造のようなトラブルを回避するとともに、会社の正式な書類であるという信頼度を高められます。そのため、見積書と同様に納品書にも押印が勧められています。
しかし、見積書や契約書などの書類には、押印を義務付ける法的根拠が存在せず、多くの書類は押印しても書類自体の法的効力が変わりませんが、取引先によっては、押印した書類を求められるケースもある為、特別な理由がなければ、商取引上の慣例にならって、押印したほうがよいでしょう。