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働き方改革に対応した菓子店とは〜品揃えの改善により、残業ほぼゼロを実現した事例〜

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執筆者:株式会社船井総合研究所 地域食品振興グループ スイーツチーム

2019年4月以降に施行が開始される働き方改革関連法。多くの菓子店にとって、労働環境を大きく変化させざるを得ない状況になりました。

中でも、時間外労働について、原則、月45時間・年360時間までの上限が設定され、正社員とパート、アルバイトに関係なく、同じ労働をした場合は同一賃金を払わなければならなくなります。

また、近年SNSを中心とした個人の情報発信力が強まったことで、地域の小さな企業でも労働環境が悪いと一気に新聞等のメディアに掲載されてしまうなどの事案が実際に複数の菓子店でも起こっています。

ただ、このような時代の変化にも対応した、今までにない菓子店が誕生してきています。例えば、岐阜県岐阜市にある洋菓子店「プルシック」です。

この店舗の最も大きな特徴は、従業員の残業時間はほぼゼロで、しかも年間109日も店を休んでいます。さらには、岐阜県の地方の郊外立地で、最寄りの電車は無人駅という立地にもかかわらず、年商7,500万円以上を売り上げています。そんな状況を作り出すための最も大きなポイントが、『商品を絞り込んでいる』ことです。

「働き方改革関連法」とは

主力商品はプリンで、単品カテゴリで売上構成比60%を超えています。さらに、その他の商品も徹底的に減らしているため、プリン・ロールケーキ・シフォンケーキの3品で売上構成比が95%以上になっています。

また、主力商品をプリンという生産性の良い単品にしていることで、高い生産効率を実現しています。一般的な洋菓子店の人時生産高(=1時間あたりに1人が製造できる商品の総額)は8,000円程度だと言われていますが、プルシックのプリンに関しては、人時生産高が35,000円以上になっています。

高い生産性のプリンに絞り込み、専門店化することでプリンの単価も400円でも売れるようになり、人時生産高を上げられるだけでなく、高級天然バニラビーンズを使用しているなどの原価をしっかりとかけた美味しい商品づくりまで可能にしています。

今、菓子業界に求められているのは、紹介させて頂きました「プルシック」のように、今までの菓子店における競争戦略でもあった地域一番の品揃えからの脱却、そして菓子の専門店としての商品づくりと値付けの変化、さらにはお客様だけではなく従業員に対しても優しい企業づくりといった全体の抜本的改革が求められています。ぜひ、今回の働き方改革関連法の施行のタイミングで、店舗‐商品の考え方を再考してみては如何でしょうか。

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