中小企業の経営者が把握しておくべき経営指標とは
中小企業の経営者が抱える課題
執筆者:株式会社船井総研ITソリューションズ
中小企業庁が2018年4月に発表した2018年版「小規模企業白書」によると、”事業内容について小規模事業者が強みと感じる要素”という調査において、「計数管理がしっかりしている」事を強みとする企業は30%にも満たない..という結果が出ています。
また、“経営上、最も課題と感じること”という調査については、40%弱の企業が「売上低下・売上高の伸び悩み」を課題と感じており、次いで、「人手不足」(約15%)、「売上単価の低下・単価を上げることが困難」(約11%)といった課題が上がっています。
中小企業とはいえ、企業を経営する上では、売上・利益の向上・維持を目指す事が当たり前ですので、経営者の頭の中の大半は、いかに売上を上げるか、維持するか..を考えていることと思います。
ただ、前述の調査でも課題としてあがっていた「人手不足」の問題はもちろん、インターネット、スマートフォン等の各種デバイスの普及により、顧客との接点が変わってきた事や、そういった新しい接点を上手に活用して新規顧客を捕まえる競合企業の登場など、企業経営を取り巻く環境が日々変化してきており、そういった変化に柔軟に対応できなければ、今後の生き残りさえ難しい時代になっています。
中堅企業や大企業に比べて、資本力や、人的リソース等、不利な面が多い中小企業ですが、規模が小さい分、小回りが効き、経営判断に柔軟かつ迅速に対応する事が可能です。
その経営判断の精度を高めるために、把握しておきたい経営指標を紹介します。
中小企業の経営者が把握しておきたい経営指標
経営者の皆様に把握しておいていただきたい経営指標は以下の通りです。
- 売上
以下の項目毎に、月次、予算対比、昨年対比等の数値を管理する
(1)全社
(2)事業別
(3)部門別
(4)商品・サービス別
(5)顧客別(業種業態別、個社別)
(6)担当者別 - 営業利益または経常利益
以下の項目毎に、月次、予算対比、昨年対比等の数値を管理する
(1)全社
(2)事業別
(3)部門別
(4)商品・サービス別
(5)顧客別(業種業態別、個社別) - キャッシュフロー(資金繰り)
(1)キャッシュフロー計算書
※キャッシュフロー計算書が出せない場合でも、現預金残高は絶対把握しておきたい指標です。
(2)売掛金残高と買掛金残高の差異、来月以降の資金繰りへの影響
(3)借入金の支払予定
※どれくらいの金利でいつまで支払うのか。 - 営業数字
(1)受注見込み案件及び、想定売上金額
※受注見込み案件は、受注確度(見込度合い)で管理する。 - その他
(1)広告宣伝費の効果
※売上や営業利益にどれだけ寄与したか。
(2)原価
※製品毎の原価。
(3)固定資産の減価償却費やリース料等
※いつまで支払うのか。
以上のような経営指標から自社の状況を把握し、迅速な経営判断が出来るような仕組み・体制を作っておく事がベストですが、全ての経営指標を必要な時に出せるようにするには、人的な組織・体制の構築はもちろん、業務の効率化、IT(ツール/システム)の導入・活用が必要不可欠です。
経営指標をもとにした経営判断は、経営者が実施すべきことであり、組織・体制やITが実施してくれるわけではありません。
そのため、まずは、経営者自身が必要な経営指標とは何かを明確にした上で、その仕組み作りを実施される事をお勧めします。
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