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小規模企業の為の、長く使い続けられる販売管理システムの選び方【④これだけは外せない!小規模企業に求められる販売管理要件10か条の5と6】

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執筆者:ITコーディネータ (認定番号 0094392010C)
武内 靖志

前回は、【これだけは外せない!小規模企業に求められる販売管理要件10か条】の3.と4.について、小規模企業の特性に合ったシステムの条件とは何か、データの訂正などが、いついかなる時でも容易に可能なシステムがなぜ必要なのかについてお話させて頂きました。
今回は、
5.自社のITリテラシー(IT機器やシステムを使いこなす力)に見合ったシステム
6.今、行っている販売系の事務作業について、できるだけ全てシステム化できる事
という点についてお話させて頂きます。


第一話 小規模企業の為の、長く使い続けられる販売管理システムの選び方④

Chapter 1|10か条 5.自社のITリテラシー(IT機器やシステムを使いこなす力)に見合ったシステムである事

これまで、小規模企業独特の特長に触れながら、融通の利くシステムを選択して頂きたいというお話をしてきましたが、どんなに立派なシステムでも使えなければ意味はありません。
販売管理システムのようなITツールが使いこなせるかどうかは、同じITツールでも、会社によってまた社員一人一人によって異なります。
以前と違って、今のITツールは格段に使いやすくはなっています。しかし、それでも使える人とどうしても使えない人がいます。
最近、DX化(デジタルトランスフォーメーション)とよく言われるようになりました。
DXとはデジタル技術を活用して、データに裏付けされた結果を元に会社の事業変革のPDCAを回して会社を成長させていきましょうというものです。
私の持論ですが、私はDX化にITツールやシステムは絶対的に必要なものとは思っていません。
要するに事業変革が出来れば良いわけです。その事業変革を検討する時には必ずデータに基づいて考えましょうという事です。そのデータ分析するには手作業では大変でしょうからデジタル技術を活用したITを使うと便利ですよ。ただそれだけの事です。
ですから、手作業でデータ分析できるのなら別にITツールなんて使う必要はありません。
目的は事業変革を通した顧客満足度の向上に伴う会社の発展です。
販売管理システムなどのITツールの導入が目的ではありません。
すなわち販売管理システムのようなITツールは単なる道具にすぎません。道具は導入しただけでは何も変わりません。使えてこその道具です。使える道具を選んで、データ分析に活用し、事業変革をしていきましょうという事です。それが真の意味のDX化だと思います。
掘削するのにスコップよりショベルカーの方が、効率良いのは当たり前です。でもショベルカーを操作できなければ無用の長物でしかありません。まず使える事、使えるシステムを選択する事。これが最も大切な事と思っています。
先ほど述べたように、人によって操作感に対する感じ方はまちまちです。
ですから、社員全員でデモンストレーションを体験する事。これは必須要件と思って下さい。
以前、社員全員が使える事というお話をしましたが、システムの全ての機能を社員全員が使えなければならない訳ではありません。事務の流れと、それをシステム化した時の対応するプログラムと、それに携わるべき人のITリテラシーを比較して、社員全員で業務全般を役割分担して下さい。
たとえば、

●社員全員が少なくとも得意先や商品や取引明細の問合せ機能を使うとか、
●受注入力だけは営業全員でやるとか
●それ以外の請求書発行や管理帳票印刷、更新業務などは事務やシステム担当者の方が行うなど

それぞれ役割分担を考えたうえで、自分の役割部分を集中してデモンストレーションで見て下さい。
自分の担当外の事は後回しでも構いませんので、担当する仕事の役割部分の使い方をデモンストレーションでしっかりと確認してください。すぐに使えなくても何ら問題はありません。慣れれば使えるようになることも多いです。
ITリテラシーは使い続ければ慣れて向上するものです。まずは拒否反応が出ないかなど、自分ならなんとなくできるかもしれないと思えるかどうかだけご判断下さい。
販売管理システムによって、その操作感と使いやすさの実感はかなり異なります。100人が100人とも同じシステムが使いやすいと感じるとは限りません。千差万別ですので、その会社の社員の方々のITリテラシーに合った自分の感覚にフィットするシステムを選択して下さい。
ごく稀ですが、どんなシステムをデモンストレーションで見ても、どうしても拒否反応が出て使えそうにない社員がいた場合には、やむを得ず代役を立てたり、代わりに入力・操作する人を立てるという選択肢も必要かもしれません。
いずれにしろ、担当する業務を操作する、できるだけ多くの担当者のITリテラシーに見合ったシステムを選択するのは絶対的な必要条件だと認識して下さい。

Chapter 2|10か条 6.今、行っている販売系の事務作業について、できるだけ全てシステム化できる事

次にシステム化の範囲ですが、私の持論では、現在行っている事務処理についてはできるだけ丸ごとシステム化した方が良いという考えを持っています。
中には、大した量ではないのでその分は手書きで併用した方が良いと考える専門家も多くいるようですが、私は逆の立場をとっています。
よく見かける例として

●システムを導入したパソコンの前で電卓をたたいている
●せっかくシステムに入力したのに、得意先の指定する専用伝票は手書きで書いている
●納品書と一緒に、運送会社の送り状や荷札シールなども手書きやハンコを使って作っている
●同様に納品書入力した同じ内容を、払込用紙に手書きやハンコで作成している
……

これのどこが問題なのでしょうか?
上記の例での作成したものは、いずれにしろ取引先の目に触れるものばかりです。
入力したデータと追加で作成した手書きのものと完全に間違いなく一致しているとは限りません。
たとえハンコを押すにしても、違うハンコに押し間違える事も可能性はゼロではありません。
間違いやミスを限りなくゼロに近づけるためにシステム化を進めているのに、これでは本末転倒です。
手が加わると、ミス、モレ、ダブりが起こる可能性が出てきます。繁忙期には一気にその可能性が高くなります。
そして間違った場合、取引先に不快な思いをさせてしまう事もあります。送り状の住所や会社名くらい良いか!と思って軽く見ておられるかもしれませんが、受け取り側がどう感じるかわかりません。
私も“武内”という名前を“竹内”と間違われた時、不快ではありませんがあまり良い気持ちはしないものです。
ましてや、得意先の指定する専用の伝票になると、住所や会社名だけではなく、納品明細が加わってきます。ここで間違うと何の為に営業全員が受注入力しているのか?わかりません。
この件については、以前お話した、小規模企業の為の、長く使い続けられる販売管理システムの選び方②Chapter 2|社員全員が使えるシステムである事をご参照ください。
指定伝票や専用伝票なんてもうすぐなくなるよ、EDIが進めばこんな昔の遺物のようなものは廃止になるよ……
という専門家も多くいますが、こういう意見は10年以上前から言われてきたことです。
でも悲しいかな今でもやっぱり指定伝票・専用伝票は存在し続けています。いずれ無くなるのであれば、本当に無くなった時に無視すればよい。それまではシステム化の重要なファクターであると私は思っています。
何故、私がこういう事にこだわるのか?というと、入力したデータと手書きした専用伝票の明細をチェックするというのは、とても無駄な事であり時間の浪費、生産性の低下に結びつくのはもちろんの事、それをチェックする社員の方の精神的なストレスは相当なものであると考えるからです。
神経を使うというのは非常に疲れる事ですしストレスもたまる事です。忙しい時にそういったストレスを受けると、他のもっと大切な事をミスする可能性も高くなります。
私は、社員の方々の生産性を向上させる為に

●システムや機械でできる事はできるだけシステムや機械にやらせる
●人間(社員)は人間にしかできない事に集中すべきである
●その社員に任せられた、各々の役割を果たすための仕事だけに神経は集中・専念すべきである
●それ以外の事に時間も神経も無駄に浪費すべきではない

そう考えます。
まずは現在の販売管理に関する事務作業を全て100%システム化するという理念で販売管理システムの選択をご検討下さい。どうしてもシステム化ができない部分は出て来るかもしれませんが、最初から〇〇は手書きでいいや、これはEXCELで代用しようなんて考えて妥協していたら、導入後に取引先から「もうちょっときちんとして下さいよ」「また間違っていますよ」なんてお小言を頂戴するかもわかりません。
DX化の重要な目的の一つは顧客満足の向上にあります。これでは何のための販売管理システムの導入かわかりませんので、是非、全ての業務をシステム化するという気持ちで検討をスタートさせて下さい。

Chapter 3|小規模企業の為の長く使い続けられる販売管理システムの選び方④のまとめ

  1. 最近のITツールは格段に使いやすくなっているが、使えるかどうかは個々の人間のITリテラシーによって異なる
  2. ITツールはDX化を実現するための単なる道具にすぎない、道具は使えてこその道具である
  3. 自分の役割部分だけに集中してデモンストレーションを見て、使えるかどうか判断すべきである
  4. ITリテラシーは使い続ければ慣れて向上するものである
  5. 指定伝票や専用伝票なんてもうすぐなくなるよと言われ続けてもう10年以上経過しているが未だに存在し続けていて、これからも残ると思われる
  6. 生産性を向上させる為には、システムにできる事はシステムにやらせ、人間は人間にしかできない役割を果たすことが大切である
  7. 自社のDX化を推進する為の社員の役割以外の仕事に時間も神経も無駄に浪費すべきではない

いかがでしょうか?
今回は、【これだけは外せない!小規模企業に求められる販売管理要件10か条】の5.と6.について、自社のITリテラシー(IT機器やシステムを使いこなす力)に見合ったシステムを選ぶ必要性と、今、行っている販売系の事務作業について、できるだけ全てシステム化すべきである理由についてお話させて頂きました。

次回は【これだけは外せない!小規模企業に求められる販売管理要件10か条】の、
7. 経営者の何故?に答えられるシステム
8. 過去のデータ検索が自由にかつ有効に活用できるシステム
という点についてお話させて頂きます。
どうぞご期待ください。


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