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IT導入補助金の申請をスムーズに行うための注意点を解説

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2017年3月より開始されたIT導入補助金。企業の業務効率化やDX化を見据えたIT機器の購入にかかる費用の一部を支援する施策として、多くの中小企業が活用しています。特に新型コロナウイルス感染拡大の影響による業績悪化の回復策や、2023年10月から開始されるインボイス制度対策として、IT化はこれまで以上に重要になっていると言えるでしょう。そこで今回は、IT導入補助金の概要、申請方法やスムーズに行うための注意点についてお伝えします。

IT導入補助金の概要

IT導入補助金とはどのようなものなのか、補助対象者および対象となるツールについて説明します。また、2021年12月20日に成立した、令和3年度補正予算により、IT導入補助金の予算も計上されました。これにより昨年度までは対象外であったツールの導入にも補助金が出るようになりました。これについても2022年2月現在での最新情報をお伝えします。

IT導入補助金とは?

IT導入補助金とは、経済産業省が行っている補助金の制度で、中小企業や小規模事業者が自社にITツールを導入するためにかかる費用の一部を補助するものです。2021年度分の募集はすでに終了していますが、2022年も実施される予定になっています。

IT導入補助金の補助対象者・対象ツールとは?

  • IT導入補助金の補助対象者

2021年度のIT導入補助金の対象者は、中小企業や小規模事業者で、業種や組織によって資本金や従業員数が定められています。具体的には次のとおりです。

業種・組織形態 資本金 従業員
資本の額または出資の総額 常勤
資本金・従業員規模の一方が、右記以下の場合対象(個人事業を含む) 製造業、建設業、運輸業 3億円 300人
卸売業 1億円 100人
サービス業(ソフトウエア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) 5,000万円 100人
小売業 5,000万円 50人
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業
並びに工業用ベルト製造業を除く)
3億円 900人
ソフトウエア業又は情報処理サービス業 3億円 300人
旅館業 5,000万円 200人
その他の業種(上記以外) 3億円 300人
その他の法人 医療法人、社会福祉法人、学校法人 - 300人
商工会・都道府県商工会連合会及び商工会議所 - 100人
中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体 - 主たる業種に記載の従業員規模
特別の法律によって設立された組合またはその連合会 - 主たる業種に記載の従業員規模
財団法人(一般・公益)、社団法人(一般・公益) - 主たる業種に記載の従業員規模
特定非営利活動法人 - 主たる業種に記載の従業員規模

参照:IT導入補助金:補助対象について|一般社団法人 サービスデザイン推進協議会

  • IT導入補助金の対象となる事業

IT導入補助金は、通常枠(A・B類型)と低感染リスク型ビジネス枠(C・D類型)の2つがあります。通常枠(A・B類型)とは、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する際の経費の一部を補助するものです。A型は、申請額が30~150万円未満。B型は申請額が150~450万円以下となります。
低感染リスク型ビジネス枠(C・D類型)とは、ポストコロナの状況に応じたビジネスモデルの転換を図るためのITツール導入にかかる経費の一部を負担するものです。
補助額は、A・B類型は費用の2分の1、最大で450万円(A類型は150万円)までを補助。C・D類型は費用の3分の2、最大でC-1類型は300万円、C-2類型は450万円、D類型は150万円までが補助されます。

  • IT導入補助金の対象となるITツール

IT導入補助金の対象となる主なツールは、「会計管理システムや労務管理システムなどの基幹システム」「ECサイト制作運用ソフト」「マーケティングオートメーションツールなどの購入、導入関連費」などです。また、2021年版の低感染リスク型ビジネス枠では、ハードウェアレンタル費も対象となります。ただし、これらITツールは、IT導入支援事業者として登録されている企業が提供するものだけです。どのような企業のITツールが対象となっているかは、IT導入補助金のWebサイトで確認できます。

2022年のIT導入補助金の概要

前述したように、2021年12月20日に成立した、令和3年度補正予算でIT導入補助金の予算も計上され、中小企業庁は2022年1月25日に概要を公開しました。新たに変更となった点は次のとおりです。

  • インボイス制度導入への対応

2023年10月より開始されるインボイス制度を見据え、「会計ソフト」「受発注ソフト」「決済ソフト」「ECソフト」に補助対象を特化し、補助率が引き上げられます。具体的には、補助額50万円以下の場合、補助率を通常の2分の1から4分の3に引き上げ。補助額50万円超~350万円以下の場合、2分の1から3分の2へ引き上げられます。

  • クラウドサービス利用料の補助

ITツールの多くがクラウド化していることを踏まえ、最大で2年分のクラウド利用料が補助されます。

  • パソコン・タブレット・レジ・券売機などの購入を補助対象に追加

これまでは補助対象外となっていたパソコン・タブレット(補助上限額10万円、補助率2分の1)、レジ・券売機など(補助上限額20万円、補助率2分の1)まで補助されるようになります。

  • 複数社連携IT導入類型の創設

これまでの通常枠(A・B類型)と低感染リスク型ビジネス枠(C・D類型)に加え、複数社連携IT導入類型が創設されます。例えば、商店街や地域全体で電子地域通貨の導入を進める際、各店舗が電子通貨の利用状況から消費者の購買データ分析を行うシステム導入にかかる経費の補助を行うといったものです。

IT導入補助金を利用するメリットとデメリット

IT導入補助金は、多くの中小企業や小規模事業者にとってどのようなメリット、デメリットがあるのでしょう?

IT導入補助金を利用するメリット

  • 購入コストの削減

規定に従って申請・受給すれば原則返済も不要なため、購入コストの削減が可能です。

  • 業務効率化

ITツールの導入により、これまで手作業で行っていた業務の効率化が進みます。また、インボイス制度のような新たな制度に対応したITツールの導入により、制度開始時の混乱を避けるうえで効果を発揮するのもメリットのひとつです。

  • 従業員の負担軽減

単純に従業員の手作業が減ることで時間的な負担が軽減されるだけではなく、計算ミス、入力ミスといったヒューマンエラーが減り、心理的負担の軽減も実現します。

IT導入補助金を利用するデメリット

  • 補助金は購入前には受給できない

購入し、実績報告のあとでないと受給できないため、補助金給付までには一定の期間が発生します。その間の費用は立て替えなければなりません。

  • 申請に手間や時間がかかる

制度を理解していないと申請が通らない可能性もあります。

IT導入補助金の申請方法

IT導入補助金を受給するには、添付書類を準備したうえで申請を行う必要があります。ここでは、必要な添付書類、申請の手順について説明します。

IT導入補助金申請に必要な書類(法人の場合)

  • 履歴事項全部証明書

発行から3カ月以内のものに限ります。

  • 税務署の窓口で発行された直近分の法人税の納税証明書(その1、その2のどちらか)

納税証明書(その1):「納付すべき税額」「納付した税額」「未納税額」などの証明
納税証明書(その2):「法人税に係る所得金額」の証明
※個人は申告所得税および復興特別所得税に係る所得金額

IT導入補助金申請に必要な書類(個人事業主の場合)

  • (有効期限内の)運転免許証、運転経歴証明書もしくは住民票

発行から3カ月以内のものに限ります。

  • 税務署の窓口で発行された直近分の所得税の納税証明書(その1、その2のどちらか)

その1は法人と同じです。その2は、申告所得税および復興特別所得税に係る所得金額となります。

  • 税務署が受領した直近分の確定申告書Bの控え

IT導入補助金の申請手順

  • 応募スケジュールの確認

IT導入補助金のWebサイトで応募スケジュールを確認します。

  • 導入するITツールとIT導入支援事業者の選定

社内で協議のうえ、導入するITツールを決めたら、IT導入補助金のWebサイトにある、「IT導入支援事業者・ITツール検索」でITツールとIT導入支援業者を選定します。

  • 申請類型の決定

導入するITツールに応じた申請類型を決定します。

  • 「gBizIDプライム」アカウントの取得

gBizIDのWebサイト(https://gbiz-id.go.jp/top/)でgBizIDプライムアカウントを取得します。

  • 「申請マイページ」の開設、企業情報の入力

導入するITツールを提供しているIT導入支援業者から、「申請マイページ」の招待を受け、必要事項を入力します。

  • 添付書類の準備

上述した添付書類を準備します。

  • 「SECURITY ACTION」宣言の実施

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の宣言を行います。

  • 交付申請

IT導入支援事業者と交付申請の事業計画を共同作成し提出する

  • 補助事業の実施

事務局から「交付決定」の報告を受けたら、実際にITツールを発注、契約し、支払までを行います。

  • 事業実績報告

申請マイページ上から実際にITツールの発注・契約、納品、支払い等を行ったことが分かる証憑を提出します。

  • 補助金交付手続き

事業実績報告を行い、補助金額が確定したら申請マイページ上で金額を確認します。その後、補助金の交付が行われます。

  • 事業実施効果報告

補助金交付から3年間、1年ごとにITツールを導入し得た成果を申請時の計画と比較しながら報告します。
なお、IT導入補助金2022では、この手順が変更される、もしくはここに追加や削除される部分がある可能性があります。詳しくは、IT導入補助金2022のWebサイト開設後に確認をしてください。

IT導入補助金を申請する際の注意点

IT導入補助金をスムーズに受給するためには、申請の段階でいくつかの注意点があります。具体的には次のとおりです。

IT導入補助金の理解を深める

IT導入補助金がどのような目的で行われているのか、どのような事業者、業務を対象として、どのようなITツール購入の補助を行っているのかを理解します。また、いつから募集を開始し、どのような書類が必要なのか、昨年度と変更点はあるかなど、申請しても却下されてしまうことがないように常に情報収集を行うことも重要です。

事前準備の徹底

自社の課題を明確にし、何を目的にどのようなITツールが必要であるのかを明確にします。補助金が出るならITツールを購入しようといったあいまいな考えでは、補助金の受給は難しいでしょう。また、仮に受給できたとしても、自社の課題解決につながらない可能性があります。
また、どのIT導入支援事業者を選定するかも重要です。自社に必要な機能を持ったITツールを提供しているのはどの企業なのかを、事前にしっかりと調査しましょう。そのうえで、選定したIT導入支援事業者とあらためて要件について協議して導入するツールを決めます。

登録されているITツールでの導入でなければならない

補助金の対象となるツールが限られているため、すべてのITツールに活用できるものではないことに注意が必要です。

必ずIT導入補助金に採択されるとは限らない

2021年度のIT導入補助金の採択率は全体で60%程度と、申請すれば必ず採択されるとは限りません。
参照:交付決定事業者一覧|IT導入補助金2021

応募期間が限られている

応募期間が設けられており、いつでも申請できるものではないので注意が必要です。

IT導入補助金をスムーズに進めるポイントは事前準備にあり

中小企業や小規模事業者にとってITツールの購入は大きな負担となるため、IT化を進めたくても実現できないケースが多いのではないでしょうか。IT導入補助金は、そうした際に大きな助けとなる制度です。
ただし、IT導入補助金の概要を理解するのはもちろん、自社がIT化によって解決すべき課題点を明確にしないと、ITツールを導入できたとしてもその効果を最大限に発揮させることはできません。そのため、IT導入補助金を検討する際は、自社の業務プロセスを明確化したうえで、事前準備に十分な時間を使うことをおすすめします。
カシオが提供する中小企業向け販売管理システム「楽一」もIT導入補助金の対象ツールのひとつです。また、カシオでは単純にツールを提供するだけではなく、申請から実績報告までしっかりご支援します。
さらに、全国の代理店と「カシオビジネスコンソーシアム」を形成。カシオビジネスコンソーシアムの2021年採択率は5次申請採択結果発表時点で86.1%と、高い採択率を実現しています。インボイス制度導入を控え、会計業務の効率化を検討する際は、ぜひご相談ください。

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