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給与計算とは?計算方法や必要な準備など基本的なポイントを解説

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給与は、従業員のモチベーション維持、向上に大きな役割を果たしています。その給与額を決めるために行うのが「給与計算」という業務です。実際の作業には、基本給に加えて、さまざまな手当、社会保険料や税金の算出など、多大な労力が必要とされています。今回は、そのような給与計算の基本的な内容から実際の計算方法、注意点などをご紹介します。

給与計算とは?

給与計算とは、給与として支払う金額を計算する業務を指します。給与は大きく以下の2つの項目、「総支給額」「控除額」からなり、「総支給額」から「控除額」を引いた額が支給額となります。

  • 総支給額

基本給や各種手当

  • 控除額

所得税、住民税、社会保険料

つまり、給与計算とは、勤怠状況に基づいて給与を計算するだけではなく、社会保険料や所得税、住民税といった税金の計算も含まれるものです。

さらに給与計算には、 支払い日が決まっているため期限付きで業務を遂行しなければならないという難しさもあります。

給与計算に必要な準備

実際の給与計算に取り掛かる前にそろえておくべき情報があります。以下に見ていきましょう。

  • 給与規定

企業では労働条件を定めた「就業規則」のなかに、「給与規定」として、給与について取り決めてある場合が多いでしょう。そのため、それぞれの従業員の給与規定について把握しておくことが重要です。

労働基準法では、従業員が10人以上の場合には「給与規定」の作成・届け出の義務が定められています。10人以下であっても、従業員に対して支給額への理解を得るためにも、そして従業員間の公平性を保つためにも、「給与規定」を作成しておくことが推奨されています。

また、従業員の給与に関する記録を取りまとめた帳簿は「賃金台帳」と呼ばれています。「賃金台帳」についての詳細は「賃金台帳とは?概要と具体的な書き方|給与明細との違いも解説!」をご参照ください。

  • 各種手当

基本給とは別に支払われる賃金が各種手当です。時間外手当や役職手当のほかに、住宅手当、扶養手当、家族手当、地域手当、資格手当など、さまざまな手当が存在します。自社の手当の種類について知っておくのはもちろんのこと、それぞれの従業員の手当について把握しておく必要があります。

手当のなかでも通勤手当については従業員の経費の扱いとなり、月当たり15万円までは所得税の課税対象外となるので注意しましょう。

  • 勤怠

従業員の勤怠状況を給与に反映させるため、勤怠を締めます。すべての従業員について、労働日ごとの労働時間、時間外労働時間や休日出勤といった法定外労働時間、遅刻や早退、欠勤などについて把握し、集計します。

勤怠締め日は、給与支払い日までに遂行すべき業務量を鑑みて適切に設定するとよいでしょう。

  • 税額と社会保険料

税金として「所得税」「住民税」を、社会保険料として「厚生年金保険」「健康保険」「介護保険」「雇用保険料」を算出します。

なお、煩雑な作業である給与の仕訳については、「給与における仕訳とは?概要や仕訳方法、注意点について解説 」をご参照ください。

給与計算の方法

給与計算の具体的な手順とその後の流れは以下のようになります。

  1. 基本給の算出
  2. 各種手当の算出
  3. 控除額の算出
  4. 差引支給額の算出
  5. 賃金台帳、給与明細書の作成
  6. 給与の支払い手続き
  7. 税金と社会保険料の納付

以下にいくつかの項目について解説します。

基本給の算出

自社の就業規定や給与規定から、支払基礎日数*を確定します。

また、基本給は「年功給」「職能給」「職務給」を組み合わせた基本給体系に従って決まる場合が多いでしょう。

自社の規定に従って、支払うべき基本給を導き出します。

*:賃金の支払い対象となる労働日数

各種手当の算出

各種手当については、自社の就業規定、賃金規定に従います。

ここでは時間外労働を取り上げてご紹介しましょう。

労働基準法では、労働時間について1日8時間以内、週に40時間以内と定めています。それ以上の労働をさせるためには、「36協定の締結、届出」と「割増賃金の支払い」が必要です。割増賃金は以下の3種類があり、割増率も決められています。

  • 時間外

「時間外手当」、「残業手当」として支給します。法定労働時間を超えたときおよび時間外労働時間が限度時間を超えたときの割増率は25%以上です。時間外労働が1カ月間に60時間を超えたときには、割増率が50%以上となります。

  • 休日

法定休日の労働は「休日手当」として支給し、割増率は35%以上です。

  • 深夜

22時から5時までの労働に対しては「深夜手当」として、25%以上の割増率で支給します。

 なお、現在は猶予されている中小企業においても、2023年4月1日から時間外労働が1カ月間に60時間を超えた場合の法定割増率が50%以上になりますので気をつけましょう。

控除額の算出

控除について、労使折半のものと、従業員が全額負担するものに分けて見てみましょう。

  • 自社と従業員で折半するもの

「厚生年金保険料」「健康保険料」「介護保険料」「雇用保険料」は、自社と従業員で折半します。「厚生年金保険料」「健康保険料」「介護保険料」については、「社会保険納入告知書」に記載されています。

「雇用保険料」は、事業の種類によって定められた保険料率を総支給額に乗じて求めます。

  • 全額従業員負担のもの

「住民税」は、地方自治体からの「住民税課税決定通知書」に従って天引きすべき金額を控除します。

「所得税」は、課税所得に源泉所得税率を乗じた額を控除することになりますが、国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表」の記載額を参照するとよいでしょう。正確な所得税額は、12月の確定申告により確定します。

社会保険料のうち、「労災保険料」は全額自社で負担しなければならないため、従業員の給与から控除できません。

給与計算の注意点

それでは、給与計算をする際の注意点をいくつか見ていきましょう。

  • 計算ミスを避ける

計算ミスが生じると、その精算に多大な労力を取られる可能性が高いだけではなく、従業員との信頼関係にも影響を及ぼします。人的ミスを防ぐ仕組みを構築するだけではなく、法律の細かい改正にもきちんと対応していくことが重要です。

  • 情報漏えいを避ける

給与情報も、自社の保持する重要な情報であるため情報漏えいリスクを抑えるための取り組みが必要です。セキュリティへの意識を高めるために経理担当者への教育も検討するとよいでしょう。

  • 属人化を避ける

給与計算を特定の人に任せると、その担当者が長期不在になった場合や離職した際に、代わりの人がいないという事態に陥りかねません。また、給与計算の業務量は決して少なくないため、担当者の負担軽減のためにも、複数の人員に担当させることが望ましいです。

上記の注意点を網羅的に押さえる方法に、システムの導入があります。集計、計算が自動化され、ミスの発生を抑えられるだけではなく、業務効率化につながるでしょう。さらに、税率の改定も自動的に反映されるものもあるため、安心です。

給与計算は正確性が重要

給与計算は、関与する項目も多く複雑であるうえ、給与支払い日までに業務をこなさなければならないという条件があります。しかも、給与計算が正確であることが非常に重要です。というのも、給与遅延や給与額に誤りがあると、従業員の信頼を失ってしまうからです。そこで、システムの導入によって自動化を行い、効率化を図るだけでなくさまざまなミスの発生リスクを抑えることをおすすめします。正確で迅速な給与計算の仕組みを構築することで、給与計算担当者の業務負担軽減を図りつつ、確かな給与支払いで従業員のモチベーション維持、向上を目指しましょう。

「楽一」「楽一EZ|EZ給与勤怠」は、給与計算に関する各種事務作業を幅広くサポートするシステムです。時給計算、支給、控除、社会保険など複雑な給与・賞与計算を自動化することも可能であり、資金台帳の作成・保存にも活用できます。

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参考:

給与計算とは? 概要や計算方法、知っておきたいリスクもわかりやすく解説|freee
給与計算とは?手順や注意点3つ【よくあるミスや求められるスキルも紹介】|WorkVision
給与計算における注意点とは?システムを使えば効率的!|ピポラボ
給与計算とは?業務内容や方法・流れ、基礎知識をわかりやすく解説|jinjerBlog
給与計算方法についてわかりやすく解説!注意点もあわせて紹介|SAISON CARD
中小企業のモデル賃金|浜銀総合研究所
しっかりマスター 労働基準法 ー割増賃金編ー|東京労働局

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