経営分析とは?押さえておくべき指標やポイントを解説
さまざまな市場において、企業間競争は必ずといっていいほど起こります。そのような状況下で勝ち残るためには、適切な経営判断による戦略立案で業績改善・業績アップを目指すことが重要です。経営分析は、自社の経営状況の把握や見直し、新たな方針の策定の際に大きく貢献します。
本記事では、経営分析における主要な指標とその見方など、経営分析の基本的な内容から重要性、効率的に行うためのポイントについても解説します。「自社の業績改善のために、何から取り組んだらよいのか分からない」「経営分析に苦労している」という課題や悩みを抱えている経営者の方はぜひご覧ください。
経営分析とは?
経営分析とは、経営成績や財務状況などさまざまな観点から現在の自社の経営状態を分析することです。
経営分析では、財務情報や事業成績などの実績をもとにした分析のほか、競合企業や市場シェアなど外部資料をもとにした分析も行われます。
経営分析が重要な理由
経営分析が重要な理由としては、主に以下の3つが挙げられます。
- 自社の経営状況が把握しやすい
経営分析によって算出された結果は数値で示されるため、経営成績や財務状況などの比較・判断がしやすくなります。また、客観的に見た定量的な自社の強みや弱みを把握することも可能となります。
- 経営方針の策定や見直しを迅速に行うことができる
経営分析を定期的に行うことで算出された数値の推移が分かるため、業績の改善や悪化を即座に判断でき、早急に対策を検討し対応することができます。また、経営分析で明らかになった自社の強み・弱みに基づいた経営方針の策定や見直しも行うことができます。
- 投資における判断材料になる
経営分析の結果は外部向けの報告の際にも用いられるため、金融機関や投資家から投資してもらえるかどうか、その判断材料として利用することができます。
経営分析4つの方法と着目すべき指標
経営分析は、基本的に以下の4つに大きく分類されます。
1.収益性分析
企業が利益を獲得する能力があるか、稼ぐ力を測る分析方法です。
これは、さらに以下の3つに分類できます。
利益増減分析
利益額と利益率を比較することで、会社の収益構造を分析する手法です。
利益の増減を「販売価格の上昇・下落」「販売数量の増加・減少」「原材料価格の低下・高騰」などさまざまな要因から探り、各要因が自社利益にどの程度影響するのか、その寄与度(影響度)を明らかにし、寄与度の高い要因から利益改善・拡大方法を考えます。
損益分岐点分析
CVP(Cost・Volume・Profit)分析とも呼ばれ、コストと販売量に基づいた利益を分析する手法です。
収益とコスト(費用)が等しくなる売上高(損益分岐点)をもとに、一定の売上高を上げるためにはコストがどれだけ発生し、損益がどれくらいになるか、一定の利益を上げるためにはどのくらいの売上高を目指し、コストはどのくらいに抑えなければいけないかを分析します。
資本利益率分析
投下した資本に対してどれだけの利益が生まれたかを分析する手法であり、会社が持つ資本がどれだけ効率的に運用されているかを把握することができます。
代表的な指標としては以下の5つが挙げられます。
- 総資本経常利益率(ROA)
総資本に対する経常利益の割合を示すもので、経営活動でどれだけ利益を得られたかを表す指標。
- 自己資本当期純利益率(ROE)
自己資本に対する当期純利益の割合を示すもので、株主の出資によってどれだけの配当金の源泉(利益)を得られたかを表す指標。
- 売上高総利益率
売上高に対する売上総利益(粗利益)の割合を示すもので、自社製品・サービスが生み出す利益を表す指標。
- 売上高営業利益率
売上高に対する営業利益(売上総利益から諸経費を差し引いたもの)の割合を示すもので、会社が本業(営業活動)で稼いだ利益を表す指標。
- 売上高経常利益率
売上高に対する経常利益の割合を示すもの。経常利益には本業以外で発生する損益も含まれるため、会社全体の稼ぐ力を表す指標。
2.安全性分析
企業が債務を弁済する能力があるか財政基盤の安全性を測る分析方法です。代表的な方法は以下の3つです。
短期財務安全性分析
代表的な指標は以下の2つです。
- 流動比率
1年以内に返済義務がある「流動負債」に対して、1年以内に回収できる「流動資産」がどれだけあるかを表す指標。
- 当座比率
「流動負債」に対して、流動資産のなかのひとつである「当座資産」がどれだけあるかを表す指標。
長期財務安全性分析
代表的な指標は以下の2つです。
- 固定比率
自己資本に対して、固定資産がどれだけあるかを表す指標。
- 固定長期適合率
固定資産が長期資本(自己資本+固定負債)でどれだけ賄われているかを表す指標。
資本調達構造分析
代表的な指標は以下の2つです。
- 自己資本比率
総資本(負債+純資産)に対して、自己資本がどれだけあるかを表す指標。
- 負債比率
自己資本に対して、負債がどれだけあるかを表す指標。
3.生産性分析
生産量や生産額などの産出量に対して、資本や労働力、原材料などの経営資源が効率的に使われているかを測る分析方法です。
代表的な指標は以下の3つです。
- 労働生産性
労働力(従業員)によってどのくらい付加価値を生み出せたか、従業員1人が生み出す付加価値額を表す指標。
- 資本生産性
投入した資本によってどのくらい付加価値を生み出せたかを表す指標。
- 労働分配率
生み出した付加価値のなかで、従業員に対する人件費(給与+法定福利費)がどのくらいあるかを表す指標。
4.成長性分析
企業の成長率や今後成長する可能性を測る分析方法です。
自社のみに着目するだけではなく、参入している市場全体の成長率と比較したシェアを意識し、競合他社との比較という観点での分析も重要となっています。
代表的な指標は以下の5つです。
- 売上高増加率
前期に比べて売上高がどのくらい増加したかを表す指標。企業が発展する勢いを表しています。
- 利益増加率
前期に比べて利益がどのくらい増加したかを表す指標。計算に利用する利益の種類を変えることによって、さまざまな成長率が測定できます。
- 総資産増加率
前期に比べて総資産がどのくらい増加したかを表す指標。会社の規模がどれだけ拡大しているかを測ることができます。
- 純資産増加率
前期に比べて純資産がどのくらい増加したかを表す指標。企業の独立性や安定性を測ることができます。
- 従業員増加率
前期に比べて従業員がどのくらい増加したかを表す指標。会社の規模がどれだけ拡大しているか、どれだけ発展しているかを測ることができます。
経営分析をスムーズに行うための3つのポイント
経営分析を正確に行って素早い経営判断を下すことが、戦略的な企業経営には必要とされています。そこで、経営分析を正確かつスムーズに行うためのポイントをご紹介します。
ポイント1:正しいデータの入力・管理を徹底する
データの収集・整理・分析を膨大な時間をかけて行っても、そのデータに誤りがあれば手戻りが発生し、タイムロスや担当者の負担増加にもつながります。また、分析結果も間違ったものになり正しい経営判断を下すことができなくなってしまいます。経営判断を誤ることで、業績にも悪影響が生じる可能性があるため、正しいデータが入力されているかの確認を徹底し、正しいデータに基づいた分析を行うことが重要です。
ポイント2:自社の状況に合った分析方法を選定する
経営分析にはさまざまな方法がありますが、そのすべてに取り組むのではなく、自社で感じている課題のような、状況に合った分析方法を選択することで、効率的に経営分析を行うことができます。
ポイント3:指標を絞って分析を行う
経営分析に使用される指標は多数ありますが、あれもこれもと手を出してしまうと、指標の算出に時間がかかるだけでなく、算出することだけで満足してしまい分析がおろそかになってしまう危険性もあります。そのため、自社に現状必要な指標や重視したい指標などに絞ることが重要です。効率的に経営分析を行うことが可能になるだけではなく、時間をかけて重要な分析を徹底的に行うことができるようになります。
ポイントを押さえた経営分析で企業経営を成功させよう
経営分析は、企業の将来を左右する重要な役割を担っています。自社の経営状況を的確に把握し、それに基づいた経営判断を下すことで企業経営を成功に導くことができます。ポイントを押さえ効率的に経営分析するために、経営分析ツール(BIツール)を検討してみてはいかがでしょうか。
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