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給与における仕訳とは?概要や仕訳方法、注意点について解説

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従業員を雇用すると、給与の支払いが生じます。年度末の確定申告には決算書が必要であり、給与に関しても仕訳をしておかなければなりません。給与の仕訳には、健康保険料や所得税などの法定控除もあり、複雑に感じられることが多いようです。本記事では、給与における仕訳について、基本的な内容からご紹介します。

給与における仕訳とは?

「給与所得」とは、国税庁によれば「勤務先から受ける給料、賃金、賞与などの所得」のこと。給与には、基本給やボーナスなどのほか、残業手当や休日出勤手当、役職手当、家族手当、住宅手当なども含まれますが、社会保険料や所得税・住民税などは、従業員の代わりに事業主が収めるため、それらについては給与から差し引かれています。
一方、「仕訳」とは、事業主が取引を項目ごとに分類して帳簿に記録することを言います。
つまり、「給与における仕訳」とは、給与にまつわるお金のやりとりを記帳することです。

給与に関する勘定科目

給与にまつわるお金のやりとりを記帳する際に、例えば健康保険料と厚生年金保険料は同じ項目に振り分けるなど、同類のやり取りをまとめるようにします。この項目を「勘定科目」と呼びます。
給与に関する勘定科目には以下のようなものがあります。

  • 給与手当

基本給のほか、残業手当といった手当がここに当てはまります。役員については「役員給与」や「役員報酬」といった別の勘定科目を用いることが一般的です。

  • 旅費交通費

日々の通勤費用、出張の際の宿泊費が「旅費交通費」に含まれます。

  • 預り金

健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険、源泉所得税、住民税などは、従業員から預かり、従業員に代わって支払うことから、「預り金」という勘定科目が使われます。「預り金」に相当するものは複数あるので、補助科目を設定することが多いでしょう。

  • 現金預金(普通預金)

給与の支給日で計上する際に、給与として支払う金額を、複式簿記の貸方勘定科目に記載する際に用いられる勘定科目です。

  • 未払金・未払費用(未払給与)

給与計算の締め日で計上する際には、給与の支払いがまだ行われていないので、貸方勘定科目には「現金預金」ではなく、「未払金」や「未払費用」が用いられますが、ほかの経費と区別するため「未払給与」という勘定科目が使われている場合もあります。

  • 経費科目

経費の精算に用いられる勘定科目です。

  • 雑給

アルバイトやパートなどの非正規社員への給与を正社員と区別したい場合に、「雑給」という勘定科目が用いられます。

給与を仕訳する際に必要な情報

前述のように、給与の支払額は、基本給に各種手当を加えた課税支給額に通勤手当を足したものから、所得税、住民税、健康保険料などを差し引いたものになります。
したがって、給与の仕訳をする際に必要な情報として、以下の項目に基づきそれぞれの金額を算出する必要があります。

  • 労働時間

労働時間に基づいて給与計算を行う場合には、労働時間を集計する必要があります。残業手当については、就業規則に沿って金額を算出します。

  • 諸手当

残業手当以外の、交通費、家族手当や住宅手当などについても、就業規則に沿って金額を算出します。

  • 労使協定による控除

生命保険料や財形貯蓄金などがあります。

  • 住民税・所得税

住民税については、各市町村からの納付書に従います。所得税については、国税庁の源泉徴収税額表に従って算出します。

  • 社会保険料

健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料について、それぞれの方式に従って算出します。
また、上述の計算に必要な情報として、勤務地、職種、役職、基本給、扶養家族などが挙げられます。

給与の仕訳方法

ここで、ひと月のなかで給与計算業務がどのように執り行われているのか、一例を見ておきましょう。
給与の締めが毎月15日、支給日が25日の場合には、15日から25日の給与支給に間に合うように業務をおこないます。そして、翌月10日までが所得税と住民税の納付期限、翌月末が社会保険料の納付期限になりますので、それに合わせて納付します。

給与支給の仕訳

上述のように、締めと支給日が異なる場合には、以下のように複式簿記に記帳します。
借方勘定科目には、「給与手当」と「旅費交通費」を記載します。貸方勘定科目には、支給予定額を「未払金」「未払費用」あるいは「未払給与」(社内で統一しておく必要があります)として記載し、社会保険料、所得税、住民税を「預り金」として記載します。合計欄では、借方勘定科目と貸方勘定科目の合計額が同一になります。
実際に給与を支払った際に、借方勘定科目に「未払金」「未払費用」あるいは「未払給与」(採用した勘定科目を用います)として、貸方勘定科目に「現金預金」あるいは「普通預金」として、どちらも同じ支給額を記載します
摘要に、何月分の給与・保険料であるのか等、記載しておきます。
なお、給与の支給日に計上する場合には、貸方勘定科目の「未払金」「未払費用」あるいは「未払給与」が、「現金預金」あるいは「普通預金」となります。

所得税・住民税納付時の仕訳

源泉徴収した所得税を納付する際には、借方勘定科目に「預り金」、貸方勘定科目に「現金預金」あるいは「普通預金」として納付額を記載。摘要に何月分の源泉徴収所得税の支払いであるのか記載します。
住民税を納付する際も、借方勘定科目に「預り金」、貸方勘定科目に「現金預金」あるいは「普通預金」として納付額を記載。摘要に何月分の住民税の支払いであるのか記載します。

給与の仕訳時の注意点

仕訳時の注意点をいくつか確認しておきましょう。

注意点1:勘定科目

勘定科目は、必ずしも前述した用語を使用しなければならないわけではありません。しかし、同じ内容については、常に同じ勘定科目を使うことが大切です。年度が替わっても、同じ勘定科目で仕訳を行いましょう。

注意点2:記念品

社内で配布される記念品は、現金給与扱いになる場合があります。評価額が高額なもの、定期的に配布されるものについては、確認が必要です。

注意点3:給与計算

最新の法令に基づいた計算が求められます。頻繁に改正されていますので、計算の際に、必ず確認するようにしましょう。
給与計算業務は煩雑で手間がかかるうえ、ある一定期間に集中してこなさなければならないことが多いものです。また、ミスがあっては、従業員からの信頼を失いかねません。そこで、給与計算システムを導入しているところは少なくありません。
勤務形態が多様化している現在、給与規定が異なる社員が混在しているのが一般的ですが、システムを利用すれば、容易に個別の対応ができます。
また、計算業務を効率化できるだけではなく、システムによっては、法令改正に対して自動的に対応していることもあります。
そのほか、人事システムを連携させて、社内リソースの適正化に役立てている場合もあります。自社に合わせたシステムを導入するとよいでしょう。
経営分析についての詳細は、「BIツールとは?機能やメリット・デメリット、選び方まで徹底解説!」をご覧ください。

正しい給与の仕訳で従業員の満足度向上へ

従業員が労働の対価として受け取る給与は、従業員のモチベーション維持・向上に大きく影響します。正しい給与の仕訳で、従業員を支え、ビジネスの成長につなげていきましょう。

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