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売掛金の与信管理方法 ~ 販売管理ソフトによる実践例

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執筆者:カシオ計算機株式会社 三上哲章

製造卸売(BtoB)を手がける中小企業において売掛金の確実な回収は資金繰りの生命線です。基本的に経営者は回収の意識が強く働きますが、従業員は回収の意識が低くなりがちです。特に営業専任の社員がいて、歩合的な給与制度を設定している場合、売上と粗利を評価尺度として採用する場合が多いので、更にその意識は低くなりがちです。
かといって、「売掛金が焦げ付いた場合、未回収金額を担当者の給与から天引きする」というようなルールは、従業員との裁判に発展する場合もあります。
よって、従業員の継続的な意識啓蒙に加えて、与信管理や代金回収を、いかに属人ではなく“組織の仕組み化された業務”として定着させるかが重要です。そこでこの記事では、売掛与信管理の基本的な考え方と販売管理ソフトによる実践例を解説します。

1信用限度額の設定方法

信用限度額の設定方法には様々な手法があります。代表的ないくつかの手法を紹介します。

分類 手法例
自社の財務状況を基準にして設定する
  • 自社の自己資本 × X%
  • 自社の売掛債権合計 × 対象取引先への販売比率
  • 自社が定める一定金額 × X%

取引先の財務状況を基準にして設定する

  • 取引先の自己資本合計 × X%
  • 取引先の仕入債務 × X%

※ 各X%の値は、自社の財務状況に照らして経営的に判断します。

これらの手法を用いると、定量的に信用限度額を計算することができます。取引先が上場企業である場合には、基本的にすべての手法を使って信用限度額を計算することができます。
ただ、取引先が未上場企業の場合、各社の財務状況は把握困難なので、基本的には自社の財務状況を基準として、各社毎の信用限度額を設定するのが現実的になります。そして、その場合は取引先の定性的な観察も加味した上で、最終的な与信限度額を決定するといいでしょう。定性的な観察とその結果をどのように評価するかはなかなか難しいものですが、営業担当者が取引先に訪問した際、それとない観察として

  • 先方の社長が(以前に比べて)不在がちである
  • 活気がないように感じられる
  • ベテラン社員が相次いで退職している
  • 安売り・投売りが目立つ

といったような兆候が感じられた場合には、注意したほうがいいでしょう。

また、取引先の状況は当然変化しますので、以上の定量的、定性的な確認と与信限度額の設定はできるだけ定期的に見直すことが大切です。定期的にウォッチできていれば、突発的に需要が集中しているなどの正当な理由がある与信超過に対して、臨時与信を検討する際にも役に立ちます。

2販売管理ソフトによる与信管理の実践例

このようにして設定した与信限度額も、実際の販売や回収のなかで実効性を伴って運用されなければ意味がありません。以下、当社販売管理ソフト「EZ販売管理」を例に、与信管理に関する実践例を紹介します。

  • 信用限度額の設定

EZ販売管理に与信限度額を登録することで、与信限度額を上回る受注や売上を計上しようとした際に、アラートを表示することができます。
これにより、仮に担当者の与信意識が低い場合にも、全社統一した与信管理を意識付けして、過剰な取引を抑止することができます。

EZ販売管理に与信限度額を登録

  • 売掛金の回収管理

EZ販売管理では、担当者別請求先別に、ゴトオ日ごとの入金予定表を作成できます。取引先各社から代金が振り込まれる場合は、経理担当者が入金確認のチェックリストとして活用することができます。
また、営業担当者が訪問回収する場合にも、この表を活用することで、回収訪問先に漏れがなく、また回収金額の過不足も防ぐことができます。

EZ販売管理では、担当者別請求先別に、ゴトオ日ごとの入金予定表を作成できます

3買掛支払予定に照らした基本的な資金繰り管理も可能

販売管理ソフトでは売掛だけでなく、仕入と買掛金の管理することができます。EZ販売管理では、買掛についてもゴトオ日ごとの支払管理表を作成できます。

先ほど紹介した、ゴトオ日ごとの入金予定表とあわせて見ることで、時系列で入金と支払を照らして、資金繰りに不安が生じないかを管理することができます。

買掛支払予定に照らした基本的な資金繰り管理も可能

なお、販売管理ソフトでは、一般的に給与や経費の支払いは管理できませんが、毎月一定額が固定的に発生するものはこの記事でご紹介した、売掛管理、買掛管理をベースに時系列で管理すれば、それらの支払予定も織り込めます。

ぜひ、販売管理ソフトを活用して与信管理を徹底しながら、資金繰りを安定させましょう。

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