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手書きによる会計帳簿作成のメリット・デメリット、注意点を解説

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会計帳簿は、「仕訳帳」と「総勘定元帳」の作成が法律で義務付けられているというだけではなく、決算書作成のもととなるデータであり、経営状況を把握するために欠かせない記録です。会計帳簿には主要簿と補助簿があり、事業に合わせていくつもの帳簿を作成することとなります。 帳簿に取引内容や資産の動きを記載する方法にはいくつかありますが、今回は手書きによる帳簿作成に焦点を当ててご紹介します。

帳簿作成の方法

経営に必要な会計帳簿の作成方法には、例えば以下のようなものがあります。

  • 手書きで帳簿に記入する
  • エクセルで作成した帳簿に入力する
  • 会計ソフトや会計システムの帳簿に入力する

それぞれの方法にメリット、デメリットがありますので、自社に適した方法を採用することが重要です。ここでは、手書きで会計帳簿を作成する場合についてご紹介していきます。
なお、 帳簿についての詳細は「帳簿とは?その必要性や種類、作成方法を解説」をご覧ください。
また、エクセルによる帳簿のつけ方については「エクセルを利用して帳簿をつけるメリットと注意点を解説」にて詳しくご紹介しています。

手書きによる帳簿の作成手順

それでは、手書きで帳簿を作成する際の手順を簡単にご紹介します。

  1. 仕訳帳へ記入

日々発生する取引を、時系列に沿って記入します。基本的な記載項目には「日付」「摘要」「借方」「貸方」「元丁」があります。「摘要」には、借方勘定科目、貸方勘定科目、取引内容を記します。「借方」「貸方」には、借方と貸方のそれぞれの金額が入ります。「元丁」には、総勘定元帳へ転記した際の転記先のページを記入します。

  1. 総勘定元帳へ転記

仕訳帳の記入内容を、勘定科目ごとに転記します。勘定科目ごとに残高を知ることができるのが総勘定元帳ですので、正確に転記することが大切です。

  1. 現金出納帳へ記入

現金出納帳は現金取引を記録する補助簿です。「日付」「科目」「摘要」「動いた金額」「残高」が把握できるようなフォーマットにする必要があります。仕訳帳と同様に、日々発生する取引を時系列でこまめに記録しましょう。

ここでは、「仕訳帳」「総勘定元帳」「現金出納帳」を取り上げましたが、事業内容や取引規模に合わせて必要な補助簿をさらに作成するとよいでしょう。

手書きによる帳簿作成のメリット

IT技術の進化が著しい現代においても、手書きで帳簿を作成しているケースは少なくありません。というのも、手書きならではのメリットがあるからです。以下にメリットを見ていきましょう。

  • パソコンの操作が苦手でも作成できる

パソコンの操作が苦手であったり、心理的に抵抗があったりする人の場合には、紙の帳簿に手書きで記入する方が、作業が進むということがあるでしょう。

  • 手に取って確認しやすい

紙ベースの帳簿は見返したいときにすぐに手に取ることができ、確認したい箇所を見つけやすいと考える人は少なくありません。 例えば、パソコンのスペックが低いために、立ち上げて該当データを探し 出す作業に負担があるような場合には、特に紙の手書き帳簿は有用でしょう。

  • 経営状況や出入金に実感が得られやすい

自らの手で日々の取引を記帳していくと出入金の状況をリアルタイムで押さえることができ、経営に実感が持てるということで、手書きによる帳簿作成を好む経営者もいます。記帳という作業を行うなかでお金の流れが整理され、経営状況がより正確に把握でき、不必要なコストを見いだしやすいとする考え方もあります。

手書きによる帳簿作成のデメリット

手書きでの帳簿作成には、用語や記載方法など簿記についての一定の知識が必要となります。また、メリットだけではなくデメリットもあります。どのようなデメリットがあるのか、以下に確認しておきましょう。

  • 簿記の知識が必要である

会計ソフトや会計システムであれば、ある程度処理が自動化されているため、簿記の初心者であっても記帳が可能な場合が多いです。しかし手書きの場合には、用語や記載方法についての一定の知識が必要となります。

  • 時間がかかる

一つひとつの取引全てを手書きで記帳することに、相応の時間がかかるのもデメリットと言えるでしょう。そのため、時間を節約するために、どのような取引がどの勘定科目に当てはまるかという覚え書きを作るといった、時間を節約するための対策を打つ必要があります。

  • 人的ミスが起こりやすい

手書きで記帳する場合には、必要な帳簿を作成するに当たって転記の作業も数多くあります。また、集計では実際に電卓をたたく作業が入るでしょう。そうした作業の中で、記載ミスや記載漏れ、計算ミスなどの人的ミスが発生するリスクが高いことも、手書きのデメリットです。確認する工程を必ず含めなければなりません。

  • 読みづらいことがある

担当者の書く字が読みづらい場合には、転記ミスが生じる可能性が高くなります。
また、読みやすい字であっても、手書きの作業量が多いと文字の乱れも出やすくなります。判読しづらくなってしまっては、せっかく記帳しても意味がありません。
作業時間を適度に区切る、休憩を入れるなどして、疲労した状態での記帳を避け、丁寧に記帳してもらう工夫が必要です。

  • バックアップに手間がかかる

デジタルの帳簿であれば容易にバックアップを取ることができますが、紙の帳簿の場合には、定期的にコピーを取る作業にも相応の労力が必要であり、デメリットのひとつと言えるでしょう。

  • 保管場所を確保する必要がある

会計帳簿は一定期間保存しておくことが法律で定められています。その期間、帳簿を保管しておく場所が必要なことも手書き帳簿のデメリットに含まれるでしょう。

手書きによる帳簿作成の際のポイント

手書きで記帳する場合のポイントは、基本的には手書きのデメリットを可能な限り克服できるようにすることにあります。以下にいくつかご紹介しましょう。

  • 正しい方法で記帳する

確定申告に用いるためには、複式簿記で正確に記帳する必要があります。帳簿に必要な項目が網羅されているように気を付けなければなりません。
書籍やインターネット上には、数多くの見本やテンプレートなどが見つかります。それらを参考にして帳簿のフォーマットを作成するとよいでしょう。
また、記帳の際には、ボールペンや万年筆など消すことのできない筆記具を用いることも大切です。訂正の際には、塗りつぶしたり修正液を使ったりするのではなく、2重線を用いて消すことで訂正前の文字や数字がわかるようにしてください。そのうえで、適切な箇所に訂正印を押しましょう。

  • ミスを検出できるようにする

転記ミスや計算ミスは、どれほど気を付けていても避けることはできません。原本や伝票と照らし合わせたり、再計算したりといった確認作業を入れることで、ミスを早期に見つけ出せるようにするとよいでしょう。

  • こまめに記帳して読みやすさを保つ

文字の乱れによって読み間違いが起きると、集計の誤りのようなミスにつながりますので、誰でも読みやすい記帳を常に心がける必要があります。作業に追われると、丁寧に書くことができなくなりがちですので、未記入を何日分もまとめて記帳することで一時的に作業量が増えることがないよう、記帳はためこまず日ごろからこまめにつけていくことが大切です。

  • バックアップを取る

デジタル化された情報にはバックアップの必要性があるということはすでに世の中に浸透していますが、紙の帳簿であっても、何らかの事情により紛失してしまう、火災で焼失してしまうなど、失われる可能性はゼロではありません。上述したように定期的に帳簿のコピーを取って、原本とは別の場所に保管するといった方策を取っておくと安心です。コピーを取る労力や保管場所に問題がある場合には、帳簿をスキャンしてデジタル化した状態でバックアップを持っておくという方法を検討するとよいでしょう。

システム導入により手書きによる帳簿作成の負担を軽減

経営状況が頭に入りやすい、手に取って見やすいなどの理由から好まれている手書きによる帳簿作成ですが、取引量が多くなってくると、記載内容も複雑化し、作業量も膨大になります。手書きでこなすことに限界を感じるようになったら、デジタル化を検討するとよいでしょう。帳簿作成のデジタル化を実現する会計システムには、経営分析のような経営に役立つ機能が数多く搭載されているものもあります。この機会に、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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