コラム
業務効率化や生産性向上など、中小企業のさまざまな課題解決に役立つ情報をお届けします。
  1. トップ
  2. コラム
  3. 帳簿とは?その必要性や種類、作成方法を解説

帳簿とは?その必要性や種類、作成方法を解説

イメージ画像

事業を営むうえで欠かせない作業のひとつに帳簿の作成があります。「帳簿」はよく知られた言葉ではありますが、「帳簿とは何か?」とあらためて問われると戸惑う人もいるでしょう。今回は事業の経営に関わる帳簿に焦点を合わせてご紹介します。帳簿とは何か、帳簿が必要な理由、帳簿の種類、作成の手順などをこの機会に確認しましょう。

帳簿とは?

日々の取引で生じたお金の流れを記録したものが帳簿です。帳簿にはいくつもの種類がありますが、「会計帳簿」と総称されています。
「損益計算書※1」「貸借対照表※2」「キャッシュフロー計算書※3」といった決算書は、会計帳簿をもとに作成されます。

※1:一定期間内の利益と損失を示した財務諸表
※2:「資産の部」「負債の部」「純資産の部」から成る、決算期末時点での資産や権利を示した一覧表
※3:一定期間内の現金の動きを示した財務諸表

帳簿が必要な理由

会社法 第二編株式会社 第五章計算等 第二節会計帳簿等 第一款会計帳簿 第四百三十二条第1項に「株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない」とあります。
また、商法 第一編総則 第五章商業帳簿 第十九条第2項にも「商人は、その営業のために使用する財産について、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な商業帳簿(会計帳簿及び貸借対照表をいう。以下この条において同じ。)を作成しなければならない」とあります。

つまり、事業を営むうえで帳簿作成は義務付けられていると言えます。多くの手間がかかるものの、帳簿を作成することによって得られるメリットがあります。
記帳していくと、日々の、あるいは月単位でのお金の動きをリアルタイムで把握することが可能です。「思ったよりも利益が出ていない」「利益があるのに返済が難しくなりつつある」などの課題を早期に発見することができるでしょう。また、帳簿をまとめた決算書を分析することによって、経営状態を正確に把握し、適切な経営判断と有効な経営戦略の立案に結び付けることができます。
義務付けられているからだけではなく、経営に生かすことができるため、帳簿作成が必要であると言えるでしょう。

帳簿の種類

会計帳簿は、大きく「主要簿」と「補助簿」の2つに分けられます。

主要簿

  • 日記帳

日々の取引内容を時系列で記載します。取引内容の把握と整理ができますが、仕訳帳へ記載する前の覚え書きのような扱いであり、仕訳帳への記載ミスを防ぐために用いられることも多いようです。そのため、主要簿のなかで日記帳だけは作成が義務付けられていません。取引量が少ない企業では、日記帳の作成を省略していることもあります。

  • 仕訳帳

取引で生じたお金の流れを時系列で記載します。「借方」と「貸方」に分け、相当する勘定科目へ仕訳する複式の帳簿です。

  • 総勘定元帳

仕訳帳をもとに、「収益」「資産」「純資産」「負債」などといった勘定科目ごとにまとめた帳簿です。特定の項目について容易に一覧することができます。また、貸借対照表や損益計算書は、この総勘定元帳をもとにして作成されます。

補助簿

「主要簿」は上述のように決算書を作成する際の要となる帳簿であり、「仕訳帳」「総勘定元帳」の2つはどのような事業であっても作成が求められる重要な帳簿です。
それに対して補助簿は、その名のとおり主要簿の補助的な役割を担う帳簿で、作成は義務付けられていません。補助簿の種類は多く、事業規模や事業内容に合わせて必要に応じて作成します。代表的なものを以下にご紹介します。

  • 現金出納帳

現金の入出金を記録するための帳簿です。郵送料のような細かな現金の入出金を記録するための「小口現金出納帳」を別に作成している企業もあります。

  • 当座預金出納帳

銀行の当座預金の入出金を記録するための帳簿です。

  • 受取手形記入帳

受け取った手形についての情報を記載します。

  • 支払手形記入帳

手形を振り出した際、手形債務が消滅した際など、支払手形の動きを記録するための帳簿です。受取人や手形の番号など、手形についての情報を記載します。

  • 仕入帳

取引の日時、仕入先、商品名、商品数、金額などの仕入の明細を記録するための帳簿です。

  • 仕入先元帳(買掛金元帳)

取引先が多く管理が煩雑な際に、仕入先ごとに分類して仕入の取引内容を記録するための帳簿です。

  • 売上帳

取引の日時、売上先、商品名、商品数、金額などの売上の明細を記録するための帳簿です。

  • 得意先元帳(売掛金元帳)

得意先別に、売上の取引内容を記録するための帳簿です。

  • 固定資産台帳

固定資産の管理を目的とした帳簿です。固定資産ごとに、取得日、所在、減価償却などの情報を記載します。

帳簿作成の方法・手順

それでは、帳簿作成の方法や手順を見ていきましょう。

帳簿作成の方法

まずは、帳簿を作成する際の代表的な方法を3つご紹介します。

  • 手書き

帳簿に手書きで記入していく方法は、現在でも採用されている方法です。自らの手で数値を記入していくため、出入金をより実感しやすいと考える経営者もいます。
手書きによる帳簿の付け方についての詳細は「手書きによる会計帳簿作成のメリット・デメリット、注意点を解説」をご覧ください。

  • エクセル

表計算ソフトであるエクセルで帳簿を作成する方法には、コストが安価であるというメリットがあります。また、自動計算機能を用いれば、計算ミスを避けることができます。
エクセルによる帳簿の付け方についての詳細は「エクセルを利用して帳簿をつけるメリットと注意点を解説」をご覧ください。

  • 会計ソフト、会計システム

会計業務に特化したソフトウェアやシステムならば、手書きやエクセルと比較して作業工程が大幅に短縮されるため、業務負担が軽減します。取引量が多くなってきた場合に導入を検討するとよいでしょう。

帳簿作成の具体的な手順

帳簿作成の大きな流れは以下のようになります。

  1. 日々の取引について仕訳帳に記入
  2. 仕訳帳から総勘定元帳や補助簿に転記

実際に行われる手順の一例を以下に説明します。

  1. 経費の領収書の整理

    経費の領収書を、現金で支払ったのか、口座から支払ったのかという点で分類し、整理します。

  2. 経費について帳簿へ記載

    現金で支払った経費は現金出納帳へ、口座から支払った経費については当座預金出納帳に記載します。

  3. 売上の明細の整理

    売上として受け取った分のお金についてもその明細を整理します。

  4. 売上金について帳簿へ記載

    売上金を売上帳へ記載します。

  5. 月締め

    毎月決まった日に帳簿を締めます。これを月締めと呼びます。月締めの業務には、1カ月分の売掛金の集計や、請求書の発行、支払い、月次決算の作成などがあります。

  6. 決算業務

    年次業務として決算業務があります。決算書を作成します。

帳簿作成時のポイント

帳簿作成の際に気を付けるべきポイントについても押さえておきましょう。

日々発生する取引をこまめに記帳する

毎日のように発生する取引を、あと回しにせず日次業務としてこなしていくことが重要です。あと回しにすると、詳細が不明になったり業務量が膨大になったりすることで、ミスが多発する可能性があるからです。

人的ミスを早期に発見できるようにする

記帳する過程において、記入ミス(入力ミス)や転記ミスなどを100%避けることは難しいものです。手書きの場合やエクセルを用いる場合には、計算ミスの発生も考慮しなければなりません。伝票と突き合わせて数値を確認する、再計算するなどの確認作業を必ず入れるようにしましょう。

記載ルールに従う

帳簿の記載ルールにのっとって記載することもポイントのひとつです。特に手書きで記帳する場合には、自分の書き方が一般的に通用する方法であるとは限らないため、ルールを意識しておくとよいでしょう。

  • 数字

漢数字ではなく、アラビア数字を使用してください。

  • 略字

略字(※4)を用いると帳簿が見やすくなりますが、自社独自のものではなく一般に通用する決められた略字を使用してください。
※4:略字例:単価「@」、順番「#」、円「¥」

  • 訂正

2本線を引くことで消し、右側に訂正印を押してください。正しい文字や数字は、線の周囲の余白に記載します。

経営を支える帳簿を積極的に作成しよう

お金の動きを把握することで、経営の課題点を浮かび上がらせることが可能です。そのため、帳簿は義務付けられているから作成するものではなく、事業の経営に欠かせないものと捉えられるでしょう。また、帳簿をもとに作成される決算書からは会社の経営状態や財務状況を把握できるので、資金調達の際にも有用です。帳簿作成には少なからず労力がかかりますが、このように事業の経営を支える重要なものであるため、積極的に作成に取り組みましょう。

「楽一」の会計システムは、簡単操作で会計業務を進めることを可能にします。現在使用している伝票をそのまま画面上に表示するといったことも、ご要望に合わせて柔軟に対応できるため、円滑に導入していただけます。

「楽一」の会計システムの詳細はこちらから

 

楽一について詳しくはコチラ ご相談・お問い合わせはコチラ
ページトップへ